雨　中　落　花 ０８０ あすよりは いかにくらさむ 春さめに 岩こす浪も 櫻なりけり 明日よりは 如何に暮らさん 春雨に 岩越す浪も 桜なりけり ０８１ 今はとて ちりゆくさくら さく櫻 こゝろ盡志の 春 […]

　　　　　　　　春　　月　　朧 ０７１ 春の夜は かすのみ於くの 月影を またくれぬ日と 思ひける哉 春の夜は 霞の奥の 月影を 未だ暮れぬ日と 思いけるかな 注）　かすのみ於くの＝「霞の於くの（霞の奥の）」の植字の誤り […]

　　　　　　　　閑　　庭　　梅 ０６１ 猶さらに 薫もきよ志 世の塵の けかさぬ庭の よるの梅かゝ なおさらに 薫りも清し 世の塵の 汚さぬ庭の 夜の梅が香 　　　　　　　　小竹園の屏風の繪に梅の花畫きたる ０６２ さく […]

　　　　　　　　雲　　　　雀 ０５０ 霞たつ 末野のくさに とこ志めて つまこめになく 夕雲雀かな 霞立つ 野末の草に 常（床）占めて 妻籠めに鳴く 夕ひばりかな 注）　つまこめ（妻籠め）＝妻を隠して。　雲雀（ヒバリ）。 […]

　　　　　　　　残　　　雪 ０３１ き江残る 高根の雪の それにさへ また春さむき 程そ志らるゝ 消え残る 高嶺の雪の それにさえ 未だ春寒き 程ぞ知らるる ０３２ 都人 はやわかなつむ 春そとも 志らぬみやまの ゆきの […]

　　　　　　　　水　邊　欸　冬 ０２０ 立よりて 井出の川水 結ふ手の 志つくより散る やまふきの花 立ち寄りて 井出の川水 結ぶ手の 雫より散る 山吹の花 注）　井出（いで）＝水の流れを堰き止めてためているところ（井堰 […]

　　　　　　　　梅　香　留　袖 ０１１ あかさり志 心やこゝに 留るらむ 見志はきのふの 袖の梅かゝ 赤去りし 心やここに とめるらん 見しはきのうの 袖の梅が香 注）　あかさり志（赤去りし）＝紅梅の花が見えなくなって。 […]