当家に関わる諸控 その20
くずし字解読
稽古附認様 | 稽古附の確認方法 |
一 講堂三八之講釈何年何月ゟ出席當時迄出榭仕候 | 一 三八講堂での講釈は、何年何月から出席し、その当時まで道場に通いました。 |
一 何藝何某門弟ニ罷成當時迄<藝>出榭仕候 | 一 誰それの門弟になり、その当時まで、<何芸の>道場に通いました。 |
幾藝ニても取續居御藝迄書出候事 | どんな芸でも引き継いだ芸は、書き出すこと。 |
右之通ニ御座候以上 | 右の通りでございます。 以上。 |
年号月 名判 | 元号何年何月 名前と印鑑 |
頭當り | 頭當り(?) |
先祖附別帳有り 御書出箱二添置候革袋入 | 先祖附は別の帳面にあります。 御書出の箱に添えて置かれています。革袋入です。 |
御奉公附右同断 入物同断 | 御奉公附は右に同じです。 入れ物も同様です。 |
宗門誓詞書物認様 | 宗門に関する誓いの言葉の書物の確認方法。 |
切支丹宗門就御改仕上起請文前書 | 切支丹宗門についての調査に関する起請誓紙の前え書き |
私儀切支丹宗門類族ニ而無御座候段従前之法華宗ニ而 | 私は切支丹宗門の類族ではありません。これまで通りの法華宗で、 |
高麗門妙立寺旦那紛無御座候則旦那坊主之裏書 | 高麗門妙立寺の檀家で間違いありません。住職が裏書き署名した |
判形取之差上申候勿論被 仰出候御觸之趣堅相 | 書類を差し上げます。勿論のこと、命ぜられたお触れの趣旨はしっかりと |
守可申候私家内相改申候處邪宗門之者無御座候末々 | 守るようにします。私はじめ家中の調査を行ったところ、正しくない宗門の人はおりません。しもじもの |
男女ニ至迄書物取置申候若自今以後切支丹宗門之者 | 男女に至る迄、書類を取りそろえます。もし自分から後に切支丹の信者がでたら |
有之彼宗旨を勧申といふ共同心不仕早速其段可申 | その宗旨を改める、と言う同じ心にならないのであれば、早速その事を報告致します。 |
上候 |
一口メモ
ニ行目に「講堂三八之講釈」とありますが、これは「三八講釈」という名の講堂と思われます。細川重賢の時代(1775年)に時習館をという藩校が創立され、この中に文芸教授所の学舎、武芸演習所の東榭、西榭という建物がつくられましたが、この内のどこかの中にあった講堂と思われます(未確認です)。
「御書出の箱」は現存しています。
「起請文前書」とは、起請文の初めに、誓う茲公を掲げ、誓約をたがえたときは神仏の罰をこうむるべき事を記した部分のことです。「起請文」とは、神仏に誓いを立て、それにそむかぬことを宣言する文書のことです。
「類族」とは、キリシタンの信徒となったものの一族七世までの称です。
「裏書判形取」とは、旦那坊主(住職)によって、裏書き署名された書類という意味です。