豊後街道を辿る その21

十三里木を後にして豊後街道(国道57号)を200m程北上すると、右に分岐する道がありますが、これが旧豊後街道です(左画面)。いよいよ最大の難所である滝室坂に入ります。この滝室坂は入り口から450mほどで通行が出来ず、一部区間は廃道になっているようです。

途中の四阿の横には下記の説明板がありました。

滝室坂

豊後街道最大の難所といわれた滝室坂は標高差200mの急峻な坂であり、俗に「大坂に坂なし坂梨に坂あり」と例えられました。また参勤交代の供侍の一人がその急坂に驚き「坂梨でこれ程の坂なら大坂の坂は如何か」と、前途を安じて切腹したという笑い話が伝えられています。往時は坂梨番所から坂の上まで、約3kmのすべてが石畳であったといわれています。

江戸時代の細川領東南北は他領と陸続きで、その出入口は人畜・国禁の貨物等の出入について検分が特に厳しく、細川領内には四箇所の重要な関所(番所)が置かれました。 滝室坂を有する坂梨番所もその一つで、この坂を利用する人がいかに多かったということがうかがわれます。肥後の国学者 高本紫溟は、滝室坂を「たきむろの 滝ぞこぼれる 坂梨の 坂の深雪は 跡たえぬらし」と詠み、儒学者頼山陽、寛政の三奇人 高山彦九郎、明治維新の立役者 吉田松陰もこの坂を往復しました。

豊肥線の全通や国道57号線の改修により、旅する人の姿が消え、戦後それに伴い人家も坂梨の町へと移転していきました。 細川藩公が利用した豊後街道、細川領の重要な関所であった坂梨関所、そして明治から昭和へと民衆がいききした滝室坂は、時の流れに沿って役目を果たしました。

        阿蘇市

また、この四阿のすぐ近くに鎮座した石像がありますが(右画面)、これは「坂梨新八十八ヶ所」の一つではないかと思われます。尚、この画像はUtubeの「ooboke2000」さんよりお借りしました。

450m先の行き止まりには、次の様な説明板が設置されています。

歴史の道 滝室坂の石橋について

ここから、約400〜500メートル程進んだところに石橋はありました。川幅2メートル、深さ2メートル程の谷の急斜面に構築された石橋は路肩を強くするため、玉石、栗石で造成構築したもので道路幅は5〜6メートル、石垣の基底めん6〜7メートル、高さは2〜3メートル、石橋の構造は、  材質・阿蘇凝灰岩  細長い板石  長さ2.5メートル位  幅40〜60センチ  厚さ30〜40センチ。これを石垣の上部に架し、支脚はなく、この板石を5〜7枚(本)並列に架したものと推定されます。 5〜7枚(本)を並列復元すると、ほぼ道路幅となり、中央部が若干高くなりゆるやかなアーチ型を画いていたと思われます。

 大政奉還により幕府の参勤交代が廃止され明治から大正にかけ新たな県道が建設されたため、豊後街道は時代の波と供に歴史の彼方に影をひそめるに至りました。廃道に近い状態となった豊後街道滝室坂は約3キロすべてが石畳であったといわれています。石橋は、5〜7枚(本)と推定されかなりの巨石であったと伝えられています。長年の風水害や、度重なる災害等により折れたり、流出したりで辛うじて1本残ったため、地元の人から「一本橋」と呼ばれ親しまれてきました。平成2年7月2日の大水害で残っていたこの「一本橋」も流出し滝室坂の往時を偲ぶおもかげが、また、一つ滅失したことは誠に残念の極みであります。

尚、この現存する石垣の道路半分が、コンクリートで固められた場所が確認できまが、これはこの豊後街道が最近まで生活道路として使われていたものと思われます。

国道57号を進むと、波野に「山庵」という食事所がありますが、ここから250m程北へ進むと、左側に「カヲの墓」という案内板(左画面)を見つけました。内容は次の通りです。

カヲの墓

豊後街道は、熊本城から大分鶴崎までを結ぶ街道で、旧波野村は坂の上から笹倉をとおり、産山大利までに至る約6kmが利用された。 難所である滝室坂から峠を越え、現在の国道に重なる場所が休息所となっており、坂梨手永と久住手永の人足交代の場所でもあった。 参勤交代の際に休息中のお殿様にお茶汲みの奉仕をした娘の墓と伝えられる墓碑が坂の上墓地内にあり、墓標には「文政十三年寅三月廿四日」「俗名カヲ」と刻まれている。

豊後街道の最大の難所である滝室坂を、ようやく登り切った国道57号に面したこの場所は、「坂梨手永」と「久住手永」の人足交代の場所でもあったため、ここに駕籠を置き、参勤の休息の場所として整備されていたようです(中画面)。

300m先のカヲの墓を目指して歩こうとしましたが、道がぬかるみで進むことが出来ず断念しました。この近辺は私有地だそうで、道の普請もままならないと言うことのようです。右画面がその墓です。

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