夢ものがたり その5
くずし字解読
安く過し天よと、教乎のこし給ふ | 安く過してよと、教をのこし給ふ |
大慈大悲の心こそ末ことの夢を | 大慈大悲の心こそまことの夢を |
志里給へるこそたふと可李 | しり給へるこそたふとかり |
氣連。 | けれ。 |
花も美知ゆ幾母 | 花もみちゆきも |
きえ天盤るおとも那し | きえてはるおともなし |
何可常なる世の中 | 何か常なる世の中 |
能こ登。 | のごと。 |
一口メモ
2行目、「大慈大悲」=仏の限りなく大きな慈しみのこと。 5行目、「みちゆき(道行き)」=物事のいきさつ。 6行目、 「はるおともなし(霽る音もなし)」=いやな気分がなくなってすっきりすることもなく(?)。
【意訳】
心安らかに過ごしなさいと、教義を残された。仏様の限りなく大きな慈しみの心こそ、本来の夢をお知りになっていること、そのものが尊いものだなあ。自然の美しい花も、そのいきさつも消えてしまって、すっきりすることもない。何か日常のありようのようだ。(以上は、意訳の自信がありません)。