夢ものがたり その4

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #5013-2
夢と奈里ぬる乎、於もへ者世尓殘る夢となりぬるを、おもへば世に殘る
毛の那し。雪花紅葉も皆ものなし。雪花紅葉も皆
夢と見る/\よそのことく於もひ夢と見る/\よそのごとくおもひ
奈して、おとろく那し。口尓のミ語りなして、おどろくなし。口にのみ語り
天まことの夢能こと者里乎志るてまことの夢のことはりをしる
人那し。唯釋尊者其おろ可人なし。唯釋尊は其おろか
奈る心乎さとし天、此世尓有うち尓なる心をさとして、此世に有うちに
思ひ無すほ本禮多るをと紀て、こゝろ思ひ無す結解れたるをときて、こゝろ

3行目、 「おもひなす(思ひ成す)」=思い込む。 2行目、 「雪花」=雪を華にみたてていう。 5行目、「ことはり(理)」=道理。 8行目、「無すほ本禮多る(結ぼ解れたる)」は、解けなくなるほど、しっかりと結ばれる、からみつくと言う意味です。

【意訳】

(皆)夢となってしまったことを思うと、この世には何も残っていない。花のように綺麗な雪も紅葉した葉も、すべて夢のような世界と思い込んで、目覚めることもない。口に出して言うだけで、本当の夢の道理を知っている人はいない。ただ、お釈迦様だけは、そのおろかな心を納得するように教え導いて、この世に生きているうちに絡みついた思い込みを解いて心(安く過ごしなさいと)

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