夢ものがたり その2
くずし字解読
生連いてゝ、人と奈る尓徒そ、時世の | 生れいでて、人となるにとぞ、時世の |
うつ李か者里し事を、於もへ盤、 | うつりかはりし事を、おもへば、 |
又、夢能中のゆめ奈李計李。 | 又、夢の中のゆめなりけり。 |
そ能ゝ知、西郷のミ多禮い天き亭よ里、 | そのゝち、西郷のみだれいできてより、 |
日清の多ゝ可ひと奈里、日露の争と | 日清のたたかひとなり、日露の争と |
な連るも夢な里介り。位高く、世 | なれるも夢なりけり。位高く、世 |
尓聞へ多る、君多知の世乎、左李 | に聞へたる、君たちの世を、さり |
多まふ尓盤、細川護久公を初め | たまふには、細川護久公を初め |
近衛篤麿、長岡護美、細川 | 近衛篤麿、長岡護美、細川(護成) |
一口メモ
最後の行に掲載されている「細川護久(ほそかわ もりひさ)」公は、肥後熊本藩12代藩主(最後の藩主)で、「近衛篤麿」は、政治家で、「長岡護美(ながおか もりよし)」は、護久公の異母弟で外交官、貴族院議員で、「細川護成(ほそかわ もりしげ)」は、護久公の長男(庶子=嫡出でない子)で、貴族院議員です。
【意訳】
(天保14年に)生まれ出て、大人になってきたうちに、世の中の変遷を思うと、全く夢のようだ。その後に西郷隆盛が侵襲して以来、日清戦争となり、日露戦争となったのも夢のようだ。気高く世に知られた天皇家の時代を去って行かれた細川護久公をはじめ、近衛篤麿、長岡護美、細川 <次頁へ続く>