伊勢参宮日記 その5

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #5018-1
伊勢の宮に、年を迎つ、おもふ事、今年ハか奈ふ、志るしなるらん。伊勢神宮に新年を迎えて、色々と考えていることが今年こそ叶いそうな気がするのだ。
二日晴。午前七時、長沼楽夫を訪。伊勢津ニ奉職。1月2日 晴れ。午前7時、長沼楽夫宅を訪問した。彼は伊勢の津で公職に就いている。
宿尓あら須。家内、よろこひて、寝末きの末ゝ、出迎ふ。あいにく家には居なかった。奥方は喜んで、寝まきのままで、出迎えてくれた。
志者し、毛の可多里して、開明楼尓、ありといふ、さらはしばらくの間、話をしたが、本人は開明楼にいるはずだと言ったので、それでは
とて、行て見る尓、者多し天逢ぬ。去年より遊ひと言って、そこに行って見ると、案の定逢うことができた。去年末から遊んで、
天、今ニかへら須と云、夫より直ニ、酒肴を持出し天、今だに帰っていないと言う。それからすぐに、酒・肴を持ち出して、
ともにあそふ。うめさくら、色をあらそふ、女とも出多り一緒に遊んだ。梅と桜が美を競うように、いずれ劣らぬ美人ぞろいの女性達が参加した
多め尓、心も能と可尓奈りぬ。ので、大いに盛り上がった。
現とも、おもはさ連介り、逢ミしハ、その末ゝ夢の、心知のミし天。いざ逢ってみると、そのまま夢心ちだけがして、現実とは思えなかった。

最初の行は、何故か前頁の最終行と同じでした。

長沼楽夫氏は、どんな人物か未だ不明です。また、伊勢の「開明楼」は未確認です。7行目の「うめさくら」は上記の通り、梅と桜が美を争うように」と武田様に、ご教授いただきました。ありがとうございました。

伊勢参宮日記 その5” に対して2件のコメントがあります。

  1. 武田智孝 より:

    色っぽいですね。
    「色をあらそふ」は、梅と桜が美を競うように、いずれ劣らぬ美人ぞろい、といった意味ではないかと思うのですが。
    どうも遊郭のようですね。

    1. sokei より:

      武田智孝様
      コメントありがとうございました。ご指摘の通りですね。訂正させて頂きました。その方面は、疎いものですので、気が付きませんでした。

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