当家に関わる諸控 その19
くずし字解読
一 何藝、何年何月、何之何某、門弟ニ罷成、何年何月ゟ出榭 | 一 どんな芸を、何年何月に誰それの門弟になり、何年何月から稽古に通いました。 |
何年何月、相傳、當時稽古、有無 | 何年何月に、代々受け継がれた術の稽古があったかどうか。 |
一 何藝、右断、何年何月、被賞、御本令之趣、記ス | 一 右と同じく、どんな芸を何年何月に賞を戴いた立派な趣旨を記入すること(?)。 |
右之通、御座候、以上 | 右の通りでございます。以上。 |
親類之内ゟ、相達候 | 親類のなかから達成されました。 |
月附 名 | 何月を以て 名前 |
家督後、相達候袋物之稜、并、文案荒増 | 家督を相続した後に達成した袋物の形式(?)、並びに大まかな文案(は次の通り)。 |
先祖附 | 先祖附 (せんぞづけ=細川家家臣の初代からの由来)。 |
御奉公附 | 御奉公附(ごほうこうづけ=細川家家臣の一代についての軍役や職務内容)。 |
宗門誓詞、書物 | 宗門誓詞書物(しゅうもんせいしかきもの=宗門に関する誓いの言葉の記述)。 |
宗門覚書 | 宗門覚書(しゅうもんおぼえがき=自分の宗教に関する事項を思いつくままに書き綴ったもの)。 |
兜立物、幕之紋附 | 兜立物幕之紋附(かぶとたてもの=兜の鉢につける飾り金具)や幕に使われる家紋の説明)。 |
従類附 | 従類附(じゅうるいづけ=一族・家来に関する記述書)。 |
親類縁者附 | 親類縁者附(しんるいえんじゃづけ=血筋や縁組みでつながっている人々の記述書)。 |
右之通、袋之上書致候節之由、尤稜々之順ハ頭之物書 | 右の通りに封書に上書きをするときの理由をもって、堂々とその順は先頭の書物 |
まて、間合認候、方可然欤 | まで隔たりを認めるのは、しかるべきか。(?) |
右之外ニ、稽古附、半切ニ認、袋物之袋ニ入、相達候由 | このほかに稽古附は半切(はんせつ=全紙を縦半分に切った和紙)を準備し、袋物の袋に入れて完成すること。 |
半切、折懸、〆上書、覚 | 半切に折り曲げて〆印を上書する覚え |
一口メモ
冒頭は、稽古附の内容の確認です。芸の種類には、剣術、槍術、射術等があります。
「出榭」とは、ここでは道場に通うという意味です。
上記では、相続後の詳細説明として、7種類の報告書が提出されたようです。これらは、熊本藩独自の制度のようです。
当家には、九代が死亡した直後の天保11年(1840)12月23日に提出された先祖附の控えと、明治3年(1870)に十二代が提出した先祖附が現存されています。