当家に関わる諸控 その15
くずし字解読
代替之節達之稜々并文案荒増之扣 | 代替りの折りは、その通達は厳しくすること。その文案の概要の控えです。 |
一 御奉公御断ニ而茂又者病死ニ而茂不閣相達候稜 | 一 ご奉公のお断りでも、叉は病死であっても、役所であろうがなかろが、威光をもって伝わるよう。 |
一 御知行上目録 | 一 知行上の目録 |
一 御赦免立山上目録 | 一 入り会いが許された藩所有の山林原野の目録 |
一 家屋敷上目録 | 一 家や屋敷上の目録 |
一 従類附 | 一 一族・家来に関しての情報も加えること |
文案左ニ記 | 文案は次に示します |
御知行上目録竪紙折懸包 | 御知行上の目録。 竪紙を使い、折懸の形式で包装すること。 |
一口メモ
ここで言う「知行」とは「知行地」つまり、藩士に対して年貢の徴収権を認めた土地のことで、その場所は「知行方目録」や「知行取附目録」などで、厳格に規定されています。 その内容は、郡・村とその知行高です。 明和6年(1769)の当家6代宛ての知行宛行状と知行取附目録です。
また、「立山」とは、狩猟、伐採などが禁じられた山のことで、「建山」とも表記されます。ここでは、肥後熊本藩の藩有林として、藩の用材を保護栽植した山林で、領民の入会(いりあい)権を認めず、または制限した山のことを言います。
「家屋敷」とは、基本的には、藩から提供された拝領屋敷(土地)の上に家屋を建築し、代々世襲として引き継がれてきたものです。屋敷の位置は,戦略上藩邸の近くに武家屋敷を構築し、藩士及びその家来一族の生活拠点として重要な場所となります。従って、家屋敷の現状を報告する必要があります。
「従類」とは上記の藩士、家来一族、家族、雇い人な等々ですが、この構成員も報告する必要があったようです。