当家に関わる諸控 その12
くずし字解読
竪紙 差出 | 竪紙(たてがみ)の形式で提出のこと |
一 五段松 一門 | 一 五段松(五階松) 左右一対 |
一 三段松 一門 | 一 三段松(三階松) 左右一対 |
但 建添木葉竹共 | 但し、 松を飾るための添木と葉竹共に |
右者拙者玉名郡南関手永大田黒村江建山致所持 | これは、私が玉名郡南関の手永である大田黒村に建山を持っていますが、 |
候得共門松ニ相成候松木無之候ニ付山鹿御山之内ゟ | 門松になるべく松の木が無いので、山鹿の山の中から |
被為拝領候様被成御達可被下候以上 | 拝領するよう指図をいただきました。以上です。 |
年号十二月 高見権右衛門 判 | 和暦何年12月 高見権右衛門 判 |
御郡代名當殿 | 郡代の受取人殿 |
右者御郡代間へ直相斗之事 | これは、郡代間に急いで話を合わせること。(?) |
竪紙 差出 | 竪紙(たてがみ)の形式で呈出のこと |
一 増奉公人壱人 | 一 奉公人の採用を一人増加 |
右者拙者儀来春召抱申度奉存候此段御達可被 | これは、私が来年の春に雇用・採用することをお願いしたく思いますので、命令戴きたく |
下候以上 | 思います。以上 |
年号十一月 高見権右衛門 | 和暦何年11月 高見権右衛門 |
御奉行 | 奉行の |
人置所 | 人置所(奉公人などの周旋をする所) |
抱差出之扣 | 奉公人雇用願い書の控え |
竪紙 差出 | 竪紙(たてがみ)の形式で呈出のこと |
一口メモ
上記に「五段松・三段松」とありますが、これは一般的に「五階松・三階松」と呼ばれている物と考えられます。これは、松の枝が左右に4本、叉は2本の対と最上部の枝を正月用の門松として飾られる物です。
「建山」とは、住民の立入りを禁制した保護林のことです。 又、「郡代」とは、藩内の郡の行政をつかさどった職名で、郡奉行、大代官ともいいます。
江戸時代の武家奉公人の採用は、奉行所の認可を必要としました。上記の差出は、奉行所への正式な認可を求める文書のようです。