当家に関わる諸控 その7
くずし字解読
一 麦からこも 三拾五枚 一 渋 壱斗弐升 | 一 麦わらの菰(こも) 35枚 一 渋 1斗2升 |
一 竹の子 一把 一 こも代 三匁五分 | 一 竹の子 一たば 一 こも(菰)の代りになる物 3匁5分 |
一 搗麦 三斗弐升 一 小麦 壱斗五升 | 一 搗麦(つきむぎ=脱穀した麦) 3斗2升 一 小麦 1斗5升 |
右者立寄之節ゟ七月迄ニ拂候分 | これらは、立ち寄った時から7月迄に支払った分です。 |
一 たにし 一芭 三月節句前拂 | 一 たにし 1たばね 3月の節句のための前払い |
一 栗 一芭 九月節句前拂 | 一 栗 1芭(は) 9月の節句のための前払い |
小原村 | 小原村(こばるむら=熊本県玉名郡南関町小原村) |
門松弐結 立添木共 大田黒村と一年越拂来候事 | 門松2基 立ち添木共に 大田黒村と一年越の支払いに来ること |
一 小縄 壱束 一 莚 弐枚 | 一 小さな縄 1たば 一 むしろ 2枚 |
一 餅米 一斗弐升 一 摺縄 弐束五ばん | 一 もち米 1斗2升 一 摺縄 2束5半(一束の半分) |
一 藁 拾弐頭 一 牛房(牛蒡) 六把 | 一 藁(わら) 12頭 一 ごぼう 6たば |
一 拾九匁五分 夫銀 | 一 19匁5分 夫銀 |
内 拾弐匁 米打夫銀 | この内、12匁は 米の脱穀時の夫銀 |
七匁五分 年中夫銀 | 七匁五分 通年の夫銀 |
鞍掛村 | 鞍掛村(くらかけむら=熊本県鹿本群植木町鞍掛村) |
一 莚 四枚 一 摺縄 弐束 | 一 むしろ 4枚 一 摺縄 2束 |
一 小縄 五ばん 一 竹箒 三本 | 一 小縄 5ばん 一 竹ほおき 3本 |
一 すぐり藁 弐拾頭 一 夫銀 九匁五分 | 一 選別わら 20頭 一 夫銀 9匁5分 |
右暮拂分 | これらは、暮に支払う分です。 |
一口メモ
「麦からこも」とは、麦稈(むぎから=麦わら)で作った菰(こも)。「渋」とは、柿渋の意と思われます。「柿渋」は、渋柿の青い果実から搾り取った液で、防腐・防水剤として紙や木に塗ります。
12行目に「夫銀」とありますが、これは夫役(ぶやく=労働で納める課役)の代わりに支払われた金銭のことですが、銀19匁5分は大体57,000円になります(基準は寛政時代ですので、65年後の元治2年では若干価値が下がっていると考えられます)。この「夫銀」には、季節的な夫銀(春夫銀・秋夫銀・米打夫銀など)と通年の夫銀(年中夫銀)があるようです。
「払い物」には様々な生活用品が書かれていますが、これらの品々の単位が多数みられ、正確に理解できませんので、不明なものはそのままにしておきます。