当家に関わる諸控 その1
くずし字解読
表紙 | 表紙 |
家ニ附而之諸達并知行所付扶持方附高知行所ゟ年分拂物之品附 | 当家についての諸々の通達、並びに知行所の扶持を給付する事務に関するいっさいの事柄、知行所より年間の払い物の品書き。 |
頁 1 | 頁 1 |
御役御断内意之扣 | 役職をお断り申し上げる内々の意向を伝える控え |
半紙折懸也 | 用紙は、半紙(縦24~26cm、横32~35cm)の日本紙を二つ折りにしたもの。 |
御内意之覚 | 表題は、「御内意之覚」とする。 |
私儀當年何十何歳罷成申候年来<病気、痼足(??)、癪気>御座候處 | 私は、今年何十何歳になりますが長年<病気、痼足(ながわずらい)、癪気(しゃくき=胸や腹が急にけいれんを起こして痛む病気)>であったところ |
いつ頃ゟ弥以相募色々療養仕候得共快無御座候 | いつ頃から、いよいよ激しくなり、色々と療養しましたが、快方に向かわなくなってしまいました。 |
御奉公難相勤躰御座候間乍恐 | 奉仕のお勤めが難しくなってしまった体ですので,誠に恐縮ですが |
御奉公御断申上度奉存候<嫡子、養子>何十何歳罷成申候 | 奉仕のお勤めをお断り申し上げたく思います。後継ぎ(実子または養子)は何十何歳になりました。 |
何年何月 | 和暦何年何月 |
御目見仕候此者被召仕被下候ハゞ難有奉存候 | お目見えしましたこの者が、召し使われることになれば、ありがたく存じ申し上げます。 |
一口メモ
この和綴じ本は、当家十二代が家督を相続してから三年後の元治2年(1865)(当時24歳)にまとめ上げた、いわば備忘録の様なものですが、内容が多岐にわたり、表題を逸脱したテーマが書かれていることから、同時代の生活を読み取ることができる興味深い古文書です。
但し、文字が大きく崩れている文章が多く見られ、解読に当たっては、件の「古文書が読みたい!」のメンバーの方々の多大なご協力を戴きました。ここに改めて御礼を申し上げます。一部解読が困難な部分もありますが、お許し下さい。
全28回にわたって、お送りします。
頁1の「痼足」は自信がありません。又、最終行の「御目見(おめみえ)」とは貴人や目上の人に合うことですが、ここでは相続予定の嫡子・叉は養子が元服のころ、時の藩主に初めてご挨拶をするという意味です。
「痼足」は「しこり足」という病らしいです。「しこりは腫瘍のほかにも、リンパ節の腫れ、…」といった記事が出ていました。
「被召仕被下候ハゞ 難有奉存候」は「召しつかわれ下さり候らわば、有り難く存じ奉り候」ではないでしょうか。
特に前半については正確な読み方かどうか自信はありませんが、要するに、採用していただければ有難く存じます、といった意味だろうと思います。
武田智孝様
コメントありがとうございました。
「痼り足(しこりあし)」自体は理解できるのですが、?の問題は、このくずし字の読み自体が、果たして「痼足」で正しいかどうか全く自信がありません。
「被下候ハゞ難有奉存候」は、ご指摘の通りでした。「困ってしまう」は、意訳意訳しすぎでした。訂正しておきます。