当家に関わる諸控 その1

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #3022
熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #3022

くずし字解読

表紙表紙
家ニ附而之諸達并知行所付扶持方附高知行所ゟ年分拂物之品附        当家についての諸々の通達、並びに知行所の扶持を給付する事務に関するいっさいの事柄、知行所より年間の払い物の品書き。
頁 1頁 1
御役御断内意之扣役職をお断り申し上げる内々の意向を伝える控え
  半紙折懸也  用紙は、半紙(縦24~26cm、横32~35cm)の日本紙を二つ折りにしたもの。
   御内意之覚   表題は、「御内意之覚」とする。
私儀當年何十何歳罷成申候年来<病気、痼足(??)、癪気>御座候處私は、今年何十何歳になりますが長年<病気、痼足(ながわずらい)、癪気(しゃくき=胸や腹が急にけいれんを起こして痛む病気)>であったところ
いつ頃ゟ弥以相募色々療養仕候得共快無御座候いつ頃から、いよいよ激しくなり、色々と療養しましたが、快方に向かわなくなってしまいました。
御奉公難相勤躰御座候間乍恐奉仕のお勤めが難しくなってしまった体ですので,誠に恐縮ですが
御奉公御断申上度奉存候<嫡子、養子>何十何歳罷成申候奉仕のお勤めをお断り申し上げたく思います。後継ぎ(実子または養子)は何十何歳になりました。
何年何月和暦何年何月
御目見仕候此者被召仕被下候ハゞ難有奉存候お目見えしましたこの者が、召し使われることになれば、ありがたく存じ申し上げます。

一口メモ

この和綴じ本は、当家十二代が家督を相続してから三年後の元治2年(1865)(当時24歳)にまとめ上げた、いわば備忘録の様なものですが、内容が多岐にわたり、表題を逸脱したテーマが書かれていることから、同時代の生活を読み取ることができる興味深い古文書です。

但し、文字が大きく崩れている文章が多く見られ、解読に当たっては、件の「古文書が読みたい!」のメンバーの方々の多大なご協力を戴きました。ここに改めて御礼を申し上げます。一部解読が困難な部分もありますが、お許し下さい。

全28回にわたって、お送りします。

頁1の「痼足」は自信がありません。又、最終行の「御目見(おめみえ)」とは貴人や目上の人に合うことですが、ここでは相続予定の嫡子・叉は養子が元服のころ、時の藩主に初めてご挨拶をするという意味です。

当家に関わる諸控 その1” に対して2件のコメントがあります。

  1. 武田智孝 より:

    「痼足」は「しこり足」という病らしいです。「しこりは腫瘍のほかにも、リンパ節の腫れ、…」といった記事が出ていました。
    「被召仕被下候ハゞ 難有奉存候」は「召しつかわれ下さり候らわば、有り難く存じ奉り候」ではないでしょうか。
    特に前半については正確な読み方かどうか自信はありませんが、要するに、採用していただければ有難く存じます、といった意味だろうと思います。

    1. 高見洋三 より:

      武田智孝様
      コメントありがとうございました。
      「痼り足(しこりあし)」自体は理解できるのですが、?の問題は、このくずし字の読み自体が、果たして「痼足」で正しいかどうか全く自信がありません。
      「被下候ハゞ難有奉存候」は、ご指摘の通りでした。「困ってしまう」は、意訳意訳しすぎでした。訂正しておきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です