古今集序 その2
くずし字解読
本文 頁2
者、歌奈理。こ野宇多、安女 | は、歌なり。この歌、天(あめ) |
徒知の飛良介者し末里介流 | と地の開け始まりける |
時よ李、い天幾尓介里。志可安禮 | 時より、出で来にけり。しかあれ |
登母、世尓徒多◯る事、久方の | ども 、世に伝はること、ひさかたの |
あめ尓し天盤、志多天る比免尓 | 天にしては、下照姫(したてるひめ)に |
者しま理、安良可年能徒知 | 始まり、あらかねの土地 |
尓し天盤、数さ能乎のみこと | にしては、素盞嗚尊(すさのおのみこと) |
よ里楚於こ里計る。知者や不留 | よりぞ起こりける。ちはやふる |
神代尓盤、歌の母しも佐多末ら | 神世には、歌の文字も定まら |
数、春那本尓し天、こと能古ゝ呂 | ず、素直にして、事の心 |
わ介幾可多李氣羅し。 | 分きがたかりけらし。 |
人の世とな里て、数さ能乎乃 | 人の世となりて、素盞嗚 |
見ことよ里曽、みそ母し安末理 | 尊よりぞ、三十文字あまり |
飛ともし者よ美介る。かく天楚 | 一文字は詠みける。かくてぞ |
花乎め轉、鳥乎うらや美、 | 花をめで、鳥をうらやみ、 |
霞越阿者禮飛、露越可奈 | 霞をあはれび、露を悲 |
一口メモ
ここでは、下照姫(したてるひめ)と素盞嗚尊(すさのおのみこと)の二人の神が登場していますが、古事記にはこの二人の歌が記述されています。
下照姫
「天なるや 弟棚機(おとたなばた)の うながせる 玉の御統(みすまる) に 穴玉はや み谷 二渡らす 」
阿治志貴 高日子根の神そ とうたひき。此の歌は夷振(ひなふり)ぞ。
素盞嗚尊
「夜久毛多都(やくもたつ) 伊豆毛夜弊賀岐(いずもやえがき) 都麻碁微爾(つまごみに) 夜幣賀岐都久流(やえがきつくる) 曾能夜幣賀岐袁(そのやえがきを)」
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を」。