在勤拝領之品付(九代武久) その16
くずし字解読
同年十二月廿一日 | 天保10年(1839)12月21日 太守様の次の間にて戴いた。 |
一 琥珀白嶋(縞)御袴 一 具 | 一 琥珀(こはく)色と白色の縞模様の袴、を一揃い。 |
一 御紙入 一 | 一 紙入れ、を一つ。 |
一 御盃 一 | 一 盃、を一つ。 |
天保十一年三月十五日 | 天保11年(1840)3月15日 若殿様の御目見並びに元服のご用を勤めたので、これをお祝いとして戴ける旨を龍ノ口上屋敷にて御殿から仰せ渡された。 |
一 御紋附長御上下 一具 | 一 紋付きの長裃、を一揃い。 |
一 同御半上下 一具 | 一 同じく紋付きの半裃、を一揃い。 |
一 同熨斗目 一 | 一 同じく紋付きの熨斗目(腰の部分だけに縞や格子模様を織り出した絹織物の小袖)、を一つ。 |
一 同御小袖 一 | 一 同じく紋付きの小袖、を一つ。 |
同年三月十六日 | 天保11年(1840)3月16日 若殿様の乗出(元服)の一件は滞りなく済んだので、太守様の思し召しで、若殿様からお召し古(古着)を内々に戴いた。 |
一 五三桐御紋附袷御継上下 一具 | 一 五三桐の紋付きで袷(あわせ=裏地をつけた着物)の継裃、を一揃い。 |
同年五月七日 | 天保11年(1840)5月7日 若殿様の御目見・元服が滞りなく済み、龍ノ口上屋敷の表居間に於いて、御前から戴いた。 |
一 御掛物三幅対 井川院筆 一 | 一 掛物を三幅、左右対で山水、中心は郭子儀(中国の唐朝に仕えた軍人・政治家)の像、を一つ。 |
同年十二月朔日 | 天保11年(1840)12月1日 蓮性院様の御前にて戴いた。 |
一 嶋(縞)縮緬御小袖 一 | 一 縞模様の縮緬の小袖、を一つ。 |
右高見権右衛門武久拝領之品付 | 以上は、高見権右衛門武久が拝領した品付けです。 |
一口メモ
当家九代の在勤中に拝領した品々は、以上の通り天保11年(1840)12月1日で終わっていますが、当家九代はこの年の12月23日に、若殿様の大寒のご機嫌伺いのお供をしていたその途中に、卒倒し落馬して死去してしまいました。享年56歳でした。
次回からは、この九代の人物像を四回にわたって紹介致します。