上々様方より拝領の御品附(嶋之助) その1
くずし字解読
高見嶋之助武棟 | 高見嶋之助武棟(高見家十代当主) |
上々様方よ里拝領之御品附 | 上々様方から拝領した品々の数々 |
天保七年六月廿四日 御文字 入門 | 天保7年(1835)6月24日 文字は、「入門」 |
一 諦了院様御筆之御書 一枚 | 一諦了院様(熊本藩八代藩主細川斉茲公)のお筆による書、を一枚。 |
天保六年四月 御文字 霍齢 | 天保6年(1834)4月 文字は、「霍(かく=鶴)齢」 |
一 雅之進様御筆之御書 一枚 | 一 雅之進様(熊本藩十代藩主細川斉護公の長男慶前公)のお筆による書、を一枚。 |
同年八月 御文字 慶壽 | 天保6年(1834)8月 文字は、「慶壽」 |
一 雅之進様御筆之御書 一枚 | 一 雅之進様のお筆による書、を一枚。 |
天保三年七月 | 天保3年(1831)7月 江戸へ出府することを命ぜられ、この折に頂戴したものと思われます。 |
一 紅梅鴛鴦 絹地 西洲筆 | 一 紅梅と鴛鴦(おしどり)の絹地。 下元西洲(しももと、せいしゅう=江戸時代後期の書家)による筆。 |
同 | 同じく |
一 山水人物 唐紙墨画 | 一 山水と人物 唐紙の墨画(ぼくが=墨絵) |
同 | 同じく |
一 右同断 右同断 | 一 山水と人物 唐紙の墨画(ぼくが=墨絵) |
天保四年七月 | 天保4年(1832)7月 白金中屋敷のお側取頭として江戸に滞在中。 |
一 肥前焼三角皿 蓋画山水染付 一枚 | 一 肥前焼の三角皿 蓋の画は山水の染付、を一枚。 |
諦了院様 雅之進様ゟ追々頂戴 | 諦了院様 雅之進様より追々頂戴した舞扇の品々 |
一 御舞扇子 但 立木椹 一本 老松 一本 菊 一本 花の丸 二本 喜多雲 二本 | 一 舞扇(まいおおぎ=舞を舞うときに用いる扇子で、多くは色彩の美しい大形の扇子) 但 立木椹(さわらの立木) 一本 老松 一本 菊 一本 花の丸 二本 喜多雲 二本 |
一口メモ
当家十代の高見嶋之助武棟は、天保4年4月に、白金中屋敷のお側取頭として勤めるよう命じられ、それまでは上々様方との接触は限られていたため、賜り物も、九代のそれと比べ少ないような気がします。但し、この文書の最終行に書かれていますが、このリストは身の回り品に限られていますので、単純に比較する訳に行きません。当時、二人は同じ江戸で勤めてはいましたが、その立場の違いは歴然としているようです。
賜り物を戴いた上様は、はっきりしているのは、諦了院様と雅之進様の二人だけですが、この期間の天保4年は、諦了院様は亡くなられる2年前の74才、雅之進様はわずかに7才でした。ちなみに当家九代は49才、十代は34才でした。