玉名川通船御願之書付
くずし字解読
指出 | 指出(差出)状 |
一 川舟壱艘 | 一 川舟1艘について |
右者貞享五年七月私祖父高見権之助代 | この舟は貞享5年(1688)私の祖父である高見権之助(三代)の代に |
知行所より之俵物高瀬江積下為申手舟壱艘 | 知行所から俵などを高瀬に積下る為にお願いして舟1艘を |
造セ私知行所より山鹿郡之内小原村八郎兵衛七郎右衛門与 | 造らせて私の知行所から山鹿郡内の小原村在住の八郎兵衛、七郎右衛門と |
申者江被預置度段相願造立仕置候然処右之船 | いう者へ預けたい旨をお願して建造したものだが、この舟は |
古ク成畳置候を今度繕立申候自分荷物之外 | 老朽化したため、今度造り直しました。これは、自分の荷物の外に |
他所荷物等曾而積せ不申勿論運賃荷物 | 他人の所有する荷物などを一緒に載せるもので、もちろん荷物の運賃 |
積せ申間鋪候間山鹿玉名川筋無異儀被指通 | など請求したりはしません。山鹿郡の玉名川沿いは異議なく通過 |
候之様ニ被成御沙汰可被下候以上 | 出来るように、命じて下さるようお願いします。以上。 |
寛保四年二月廿一日 高見権右衛門(花押) | 寛保4年(1744)2月21日 高見権右衛門(花押)(五代高見権右衛門正武) |
右紙面之通可有沙汰候以上 御奉行所 | 右の紙面に記載されている通りに取り扱いなさい。 奉行所。 |
山鹿 中該嶋大夫殿、 可児信蔵殿 | 山鹿郡 中該嶋大夫殿、 可児信蔵殿 |
玉名 石本十助殿、 坂内壱四郎殿 | 玉名郡 石本十助殿、 坂内壱四郎殿 |
一口メモ
上記の画像は3枚の写真を合成したものですが、現物は一通のお願い状でした。中程の空欄には、奉行所からの了解と指示が書かれています。
当家三代の権之助が建造し、運用していた舟が老朽化したため、五代の権右衛門正武が造り直したことによるお願い状ですが、この間36年も経過しており、この舟は随分と長持ちしたものですね。
尚、この文書の解読に当たりましては、Facebookのグループ「古文書が読みたい!」のメンバーの皆様のご協力を戴きました。ここに改めて御礼を申し上げます。