寒山詩偈讃歌 52

短冊 その14
熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #4006

246

為報後來子何不讀古言
為に後來の子に報ず。何ぞ古言を讀まざる。
あたら世を過すなよ人いにしへをたづねて今をしるべかりけり

せっかくの大切なこの世の時間を無駄にすごしてはならない、古の教えや歴史を学んで新しい道理や知識を得る努力をしなさい(武田智孝氏訳)。

247

徑窄衣難進苔黏粘履不前
徑窄(みちすぼ)くして衣進難く、苔黏(ねば)くして履(=靴)前(すす)まず。
越えがたきみ山の道を分こずば雲にふすべきたのしみもなし

超えるには厳しいこの山奥をかき分けて来ない限り、雲がかかる奥深い山の中で生活する楽しさも得ることはできない(武田智孝氏添削)。

248

心意不生時内外無餘事
心意不生の時、内外(ないげ)餘事無し。
世にまよふこゝろしなくばいかばかりのどかに身をばすぐさむものを

世の中での生きざまに、迷うようなことさえなければ、どれほど平穏に暮らせるだろうか。

249

君看葉裡花能得幾時好
君看よ葉裡(うら)の花、能く幾時の好をか得ん。
さくと見る花もいつしかちりはてゝもとのあくたになるとしらずや

花が咲くと、喜んで眺めるが、その花も散ってしまえば、ただの塵になってしまう事実を知らないのか(武田智孝氏添削)。

250

善根今未種何日見生芽
善根今未だ種ゑずんば、何れの日か芽を生ずるを見ん。
花さかむ春をしまたばかねてより手によき土をつむべかりけり

春に花が咲くのを心待ちにするのであれば、前もって良く肥えた土を用意すべきであった。何事も、良い結果を期待するのであれば、予めしっかり準備をすべきだ。

一口メモ

上記短冊の俳句は件の Facebook「古文書が読みたい!」のメンバーにより、解読頂きました。

 

詞書  五月五日 牧氏うゐ胡能本幾尓

な可ゝ羅武児末津乃千代母志るき可那都由(?)曽へてい者ふ介ふのあやめに
ながからむ児まつの千代もしるきかなつゆそへていはふけふのあやめに

詞書  大正六年八月三日 雨を乞奉ると天よミて佐々介多る 廣川

天津神者や雨たまへ不らさ羅盤水穂の國能名尓や曽舞可舞
天津神はや雨たまへふらざらば水穂の國の名にやそむかむ

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