光尚君御家譜抜書 42

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #3008

人大ニ恐阿へ里然るニ  真源院樣御逝去御懇意之

衆中何連茂殉死之時外記ハ多分一番ニ殉死春可と

諸人於もひ候処曽而切腹せ壽其時諸人の物笑ひ二成り

臆病者と沙汰して初之威勢ニ引替帝御家中

出入春るものなし長岡監物殿斗り始ニ不替懇意ニ而

外記追腹世ぬも臆病とて見加支り堂連共我ハ

左様ニ不思外記何堂る所存阿りて切腹世すニ居るやらん

くずし字解読

人大ニ恐阿へ里然るニ(ひと、おおいに、おそれあへり、しかるに)。人々は大変恐れあったけれども。

多分一番ニ殉死春可と(たぶん、いちばんに、じゅんし、すべしと)。恐らく、真っ先に殉死するのではないかと。

切腹せ壽其時諸人の物笑ひ成り(せっぷく、せず、そのとき、もろびとの、ものわらひなり)。切腹しなかったので、その時は多くの人からもの笑いされた。

初之威勢ニ引替帝(はじめの、いせいに、ひきかへて)。最初の頃の威勢の良さに比べて。

監物殿斗り始ニ不替懇意ニ而(かんぶつどの、ばかり、はじめにかえず、こんいにて)。(長岡)監物殿だけが、当初と同じように親しく交際して。

臆病とて見加支り堂連共(おくびょうとて、みかぎりたれども)。(外記が追い腹しなかったのを)臆病者ということで、見限ったけれども。

切腹世すニ居るやらん(せっぷく、せずに、おるやらん)。(何かの理由があって)切腹せずに居たのであろう。

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