光尚君御家譜抜書 42
人大ニ恐阿へ里然るニ 真源院樣御逝去御懇意之
衆中何連茂殉死之時外記ハ多分一番ニ殉死春可と
諸人於もひ候処曽而切腹せ壽其時諸人の物笑ひ二成り
臆病者と沙汰して初之威勢ニ引替帝御家中
出入春るものなし長岡監物殿斗り始ニ不替懇意ニ而
外記追腹世ぬも臆病とて見加支り堂連共我ハ
左様ニ不思外記何堂る所存阿りて切腹世すニ居るやらん
くずし字解読
人大ニ恐阿へ里然るニ(ひと、おおいに、おそれあへり、しかるに)。人々は大変恐れあったけれども。
多分一番ニ殉死春可と(たぶん、いちばんに、じゅんし、すべしと)。恐らく、真っ先に殉死するのではないかと。
切腹せ壽其時諸人の物笑ひ成り(せっぷく、せず、そのとき、もろびとの、ものわらひなり)。切腹しなかったので、その時は多くの人からもの笑いされた。
初之威勢ニ引替帝(はじめの、いせいに、ひきかへて)。最初の頃の威勢の良さに比べて。
監物殿斗り始ニ不替懇意ニ而(かんぶつどの、ばかり、はじめにかえず、こんいにて)。(長岡)監物殿だけが、当初と同じように親しく交際して。
臆病とて見加支り堂連共(おくびょうとて、みかぎりたれども)。(外記が追い腹しなかったのを)臆病者ということで、見限ったけれども。
切腹世すニ居るやらん(せっぷく、せずに、おるやらん)。(何かの理由があって)切腹せずに居たのであろう。