光尚君御家譜抜書 38
一書阿部屋敷ハ山崎今之斎藤勘助屋敷栖本ハ今之
有吉専助屋敷山中ハ今之鯛瀬三郎大夫屋敷也満た一書尓
向屋敷ハ山中又左衛門両隣ハ栖本又七郎外山源左衛門平野
三郎兵衛屋敷也ト云々考ニ此一書者いつ頃之筆記ニ而候哉
今ニ而者屋敷茂追々入替り候又栖本又七郎ハ阿部兄弟
仕物被 仰付候節手を合ス様ニ御内意を承り居堂る尓てハ
無之哉後日ニ組頭谷内蔵允を被召候而今度阿部兄弟の儀
くずし字解読
一書阿部屋敷ハ山崎今之(いっしょ、あべやしきは、やまざき、いまの)。ある書物によると、阿部の屋敷は、山崎で、今の(斎藤勘助屋敷で)。
有吉専助屋敷山中ハ今之(ありよしせんすけ、やしき、やまなかは、いまの)。有吉専助の屋敷で、山中(又兵衛)は、今の(鯛瀬三郎大夫屋敷)。
向屋敷ハ山中又左衛門両隣ハ(むかひやしきは、やまなかまたざえもん、りょうどなりは)。向かいの屋敷は山中又左衛門で、その両隣は。
考ニ此一書者いつ頃之筆記ニ而候哉(かんがへるに、このいっしょは、いつごろの、ひっきにてそうろうや)。考えると、この書物はいつごろ書かれたものであろうか。
今ニ而者屋敷茂追々入替り候(いまにては、やしきも、おひおひ、いれかわりそうろう)。今になっては屋敷も時につれて入れ替わっている。
仕物被 仰付候節手を合ス様ニ(しもの、おおせつけられ、そうろうせつ、てを、あわすように)。仕事を命じられ時に、手合いをするように(内諾を受る)。
無之哉後日ニ組頭谷内蔵允を(これなしかな、ごじつに、くみがしら、たにうちくらすけ、を)。これは無いであろう。後日に組頭の内蔵允を(お呼びになられて)。