光尚君御家譜抜書 34
光尚君今日者松野右京所ニ御成也夫故高見権右衛門ハ
阿部可家悉ク焼拂直ニ右京宅ニ至り始終之様子言上仕候
其躰衣類之血ニ染ミ堂る上焼りのかゝ里てよ己連堂る可
殊ニ見事ニ而有し登也扨今日第一の功ハ栖本又七郎奈る
与し也具ニ言上仕候間早速栖本可組頭谷内蔵允上使
登し帝又七郎宅ニ至り今日之働無比類之段委細被
聞召上御満悦ニ被 思召候随分手疵保養仕遍支旨の
くずし字解読
松野右京所ニ御成也夫故高見権右衛門ハ(まつのうきょう、ところに、おなりなり、そゆえ、たかみごんうえもんは)。(光尚君は)松野右京の屋敷にお出かけになられたので、高見権右衛門は。
直ニ右京宅ニ至り始終之様子言上仕候(ただちに、うきょう、たくにいたり、しじゅう、これ、ようす、ごんじょう、つかまつりそうろう)。(焼き払い)すぐに、右京の屋敷に着いて、始終の様子をご報告申し上げた。
焼りのかゝ里てよ己連堂る可(くばりの、かかりて、よごれたるが)。火の中に入って汚れた姿が。
殊ニ見事ニ而有し登也(ことに、みごとにて、ありし、と、なり)。殊更見事であったと言うことである。
与し也具ニ言上仕候間早速(くみしなり、ともに、ごんじょう、つかまつり、そうろうま、さっそく)。皆同意してこぞって申し述べる間、早速。
今日之働無比類之段委細(こんいちの、はたらき、ひるいなき、の、だん、いさい)。今日の働きは比べる迄もなく(又七郎であるが)、詳しい事情を。
随分手疵保養仕遍支旨の(ずいぶん、てきず、ほよう、つかまつるべき、むねの)。著しく手傷を負ったのでしっかり保養をすべきであるとの(上司の意見を伝えた)。