光尚君御家譜抜書 26
皆御供申上候七郎右衛門ハ 光尚公江勤仕壽る有馬御陣
之時者時疫を煩喰奈らすし帝壽り湯なと飲て城乘之
御供申上堂り運強希連ハ人ハ死ぬものと老年ニ成りても
折々咄し堂り次郎大夫ハ八兵衛働兄弟四人御褒美銘々
差イ阿り数馬十六才尓し帝御供申上御児小姓故御馬廻りニ
居多り先手ニ参度と再三願ひ申上希るニ御腹立遊し
小伜う世於ろふと御意阿り希連ハ阿川と云帝馳世出春
くずし字解読
光尚公江勤仕壽る有馬御陣(みつなおこう、え、つとめ、つかまつり、する、ありま、おんじん)。 光尚公にお就きになり、有馬への出陣。
之時者時疫を煩喰奈らすし帝(このときは、じえきを、わずらい、くい、ならずして)。この時は、流行病を患って食事もできず。
御供申上堂り運強希連ハ人ハ死ぬものと(おとも、もうしあげたり、うん、つよければ、ひとは、しなぬものと)。お供をした。運が強ければ火とはしなないものと。
折々咄し堂り次郎大夫ハ八兵衛働(おりおり、はなしたり、じろうだゆうは、はちべえ、はたらき)。折りにつけ話していた。次郎太夫は八兵衛の働きによって。
数馬十六才尓し帝御供申上(かずま、じゅうろくさい、にして、おとも、もうしあげ)。数馬は16歳でお供をして。
先手ニ参度と再三願ひ申上希るニ(せんてに、まいりたしと、さいさん、ねがい、もうしあげけるに)。先頭に加わりたいと再三申し上げたのだが。
小伜う世於ろふと御意阿り希連ハ(こせがれ、うせ、おろうと、ぎょい、ありければ)。小せがれよ(数馬よ),とっとと失せろとのお言葉があったので、(あっと言って駆けだした)。