光尚君御家譜抜書 21 

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #3008

其頃御家中ニ而者十太夫と云名左へも嫌ひ候と也かヽる臆

病成ル十太夫を以竹内数馬ニ討手之役を倶ニ被 仰付堂る

我等分十太夫同前之臆病者と被 思召候事口惜と云て

途中ニ而着込ミをゑ里より引出し討死尓極メ候此事

被 聞召首尾好仕廻討死不仕様ニと御使者度々被下

候得共只畏々と計り御請度毎ニ申上候登云々古老

茶話ニ曰数馬兄竹内八郎兵衛<一ニ八兵衛>と云者ハ仕手ニハ不有し天

くずし字解読

十太夫と云名左へも嫌ひ候と也(じゅうだゆう、と、いうなさへも、きらひ、そうろうとなり)。十太夫と言う名前さえも嫌ったということである。

討手之役を倶ニ被 仰付堂る(うっての、やくを、ともに、おおせつけられたる)。討手の役割を一緒に命じられたのは。

被 思召候事口惜と云て(おぼしめさるそうろうこと、くちおし、といいて)。

着込ミをゑ里より引出し(きこみを、えりより、ひきだし)。上着の下の防具を襟から引き出して。

首尾好仕廻討死不仕様ニと(しゅびよく、しまい、うちじに、つかまつらぬ、ようにと)。首尾良く片を付けて、討ち死しないように。











候得共只畏々と計り(そうらえども、ただ、いいと、はかり)。そうだろうけれども、ただ恐れ多いと推し量り。

と云者ハ仕手ニハ不有し天(と、いふものは、してには、あらずして)。という人は(討手の)やり手ではないのだが。

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