光尚君御家譜抜書 20

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #3008

畑十太夫ハ天岸樣御肝煎<天岸樣御幼年也御肝煎ト在事い不可し>尓て被 召抱候

兼而臆病者とハ被 聞召候得共恰合万端宜敷もの故

い川そハ剛成る事もあらん可と被 思召候処今度之仰を

承り候時新免武蔵手柄を仕やれと云て背中を

打候得バはや腰可ぬ希候よし扨小便壽連ハ討死世ぬもの迚

小便い多し候と也山崎喰違丁ニ屋敷有之候得共阿部討

果候砌者我家も分らすう路津支候と也依之御暇被下

くずし字解読

天岸樣御肝煎<天岸樣御幼年也御肝煎ト在事い不可し>(てんぎしさま、おん、きもいり、<てんぎしさま、ごようねんなり、おん、きもいり、とあること、いぶかし>)。 肝煎=世話役。いぶかし=訝し(疑わしい)

恰合万端宜敷もの故(かっこう、ばんたん、よろしき、ものゆえ)。 恰合=きっちり。ばんたん=あらゆる手段。準備万端。

い川そハ剛成る事もあらん可といつそは、ごう、なることも、あらんかと)。いつそ =反対に。

手柄を仕や連と云て背中を(てがらを、しやれと、いうて、せなかを)。 手柄をあげてよと言って背中を。

扨小便壽連ハ討死世ぬもの迚(さて、しょうべん、すれば、うちじにを、せぬとて)


山崎喰違丁ニ屋敷有之候得共(やまざき、くひちがい、ちょうに、やしき、これあり、そうらえども)。

我家も分らすう路津支候と也(わがやも、わからず、うろつき、そうろう、と、なり)。自分の家もわからず、うろつき回ったとのことである。

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