光尚君御家譜抜書 19
忠利君御手自被下春る無類之業サもの(わざもの)関兼光乃
脇指ニ重代之刀村正之弐尺五寸兼て覚え阿るを共尓
帯し相印の角取紙を付草鞋の緒を男結尓し帝
余りを切捨軍役の人数一期の晴と出立潔ク討死を遂候也
林外記ハ佐藤傳三郎<佐藤将監十郎子 実ハ伊藤十之允子>意趣有之慶安三年外記
宅ニ而討果候其時伊藤左内茂罷越傳三郎と共ニ果申候
左内ハ伊藤十之允兄次兵衛子ニ而傳三郎とハ従弟也一説
くずし字解読
無類之業サもの関兼光乃(むるいの、わざもの、せき、かねみつ、の)。比べるものがない程の名刀の美濃関の兼光の。
脇指ニ重代之刀村正之弐尺五寸(わきざしに、じゅうだいの、かたな、むらまさ、の、にしゃくごすん)。脇差と 先祖代々の刀、五尺二寸村正。
草鞋の緒を男結尓し帝
(わらじの、おを、おとこむすび、にして)
余りを切捨軍役の人数一期の晴と(あまりを、きりすて、ぐんえきの、にんずう、いちごの、はれと)。余りを切り捨てて
参戦する多くの人達は一生に一度しかないような、晴れやかな気持ちで(出発し)。
林外記ハ佐藤傳三郎<佐藤将監十郎子 実ハ伊藤十之允子>意趣有之( はやし、げき、は、さとう、でんざぶろう、<さとう、しょうげん、じゅうろう、こ、じつは、いとう、じゅうのじょう、こ>いしゅ、これあり)。将監=近衛府の判官。意趣=恨み。
伊藤左内茂罷越傳三郎と共ニ果申候(いとう、さない、も、まかりこし、でんざぶろう、とともに、はて、もうしそうろう)。 伊藤左内も参戦して、傳三郎と共に打ち果ててしまった。