光尚君御家譜抜書 12

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #3008

一人も見衣春数馬下知して玄関長屋臺所其外

屋敷内ニ人数を配帝自身ハ臺所之内ニ走り入帝

見連ハ鎖ノ口本そ免ニ引立置春堂るを押明て進ミ入る

竹内が譜代の乙名嶋徳右衛門<一ニ左衛門>立隔帝殿ハ今日の

惣大将也麁忽之御振舞不可然私御先仕候と云天

鎖口を入連ハ敵待受志たゝ可尓突鑓脇ニ當り帝

深手な連ハよろよろとして数馬ニ倒連かからんとするを数馬

くずし字解読

一人も見衣春 (ひとりも、みえず)。一人もいなくて。 衣(え)、春(す)

臺所之内ニ走り入帝 (だいどころ、の、うちに、はしり、いりて)。台所の 内部に走り、入って。 帝 (て)

見連ハ鎖ノ口本そ免ニ (みれば、かぎのくち、ほそめに)。見ると、鍵の間(重要な武具を入れておく部屋)の入口が細めに。本(ほ),免(め)いずれも変体仮名。

竹内が譜代の乙名(たけうちが、ふだいの、おとな)。竹内の家系を継いでいる惣(そう=農村の自治組織)を指導した有力な名主(みょうしゅ)。

惣大将也麁忽之御振舞 (そうだいしょう、なり、そこつの、おん、ふるまい)。総大将であり、粗忽な振る舞いは。

敵待受志たゝ可尓(てき、まちうけ、したたかに)。敵が待ち受けて、甚だしく。多(た)、可(か)、尓(に)

突鑓脇ニ當り帝(とつ、やり、わきに。あたりて)。突然槍が脇腹に当たって。

深手な連ハよろよろとして (ふかで、なれば、よろよろ、として。

数馬ニ倒連かからんとするを(かずまに、たおれ、かからん、と、するを)。数馬に倒れかけてきたのを。

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