光尚君御家譜抜書 10

熊本大学附属図書館所蔵 高見家文書 #3008

屋敷廻り固メ申し候及深更侍分之者と見え帝面を

深く隠し塀を越へ忍出るを佐分利喜左加右衛門組足軽丸山

三之允と云廻り役之者見逢早速討留メ候

  此首尾よかりし迚達  尊聴御褒美有之候と也<三之允嶋原ニ而も心ば世有て>

  <忠利君御目見被 仰付>御言葉之御褒美有大筒打丸山一平が先祖也

   私ニ云上羽左大夫先祖上羽弥兵衛も阿部兄弟御討果之節討手ニ

   参り塀を越出候児小姓を長刀尓の世候よし右弥兵衛屋敷も 

   山崎に有之よし 

阿部兄弟者屋敷内掃除等い多し見くるし支物ハ焼捨二十日之

くずし字解読

屋敷廻り固メ申し候及深更(やしきまわり、かためもうし、そうろう、ふかさら、および)。屋敷の周りをかためた。深夜に至って。

深く隠し塀を越へ忍出るを(ふかく、かくし、へいを、こへ、しのびでるを)。(顔を)深く隠して、塀を乗り越え忍び出るのを。

此首尾よかりし迚達  尊聴(これ、しゅび、よかりし、とて、たつ、そんちょう)。これは首尾よく事が運び尊聴に達する(御褒美があった)。「達」と「尊聴」の2文字分の空白は、闕字(けつじ)といわれるもので、「尊聴」に対する敬意を表すものです。

廻り役之者見逢(まわりやく、のもの、みあひ)。見回り役の者が見つけて。

御言葉之御褒美阿り(おんことば、これ、ごほうび、あり)。(忠利君に直接お目見したうえで)お褒めの御言葉を頂戴した。

私ニ云上羽左大夫先祖上羽弥兵衛も(わたくしに、いう、うえはさだいう、せんぞ、うえはやへえ、も)。上羽左大夫が私にいう事には、彼の先祖である上羽弥兵衛も。

児小姓を長刀尓の世候よし(こごしょうを、薙刀に、載せたとのことであった。

掃除等いたし見くるし支物ハ(そうじとう、いたし、みくるしき、ものは)。掃除等を行い、見苦しいものは(焼き捨て)。

「等」は独特の崩し方なので憶えるほかはありません。「いたし」や「くるし」はまとめて覚えておきましょう。特に、「くるし」は漢字と判断してしまいますと、迷宮入りになってしまいます。支(き)はよく出てきますね。

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