光尚君御家譜抜書 5
被成左様之色見えける時者餘の御咄被成候而権兵衛事
申出べき折もなく任職の僧久々の逗留も難成
帰京尓於およはれ権兵衛其後井手口ニ被引出縛里首
討れ候依之弟共歎の餘尓怒りを含権兵衛上を
不恐仕方御咎メハさる事奈れ共親弥一衛門不肖
なから 先君殉死之者之責帝侍之作法尓
被 仰付候は御恨ミ尓毛奉存へき様なし盗賊なとの
くずし字解読
被成左様之色見衣希る時者(なされ、さようの、いろ、みえけるときは)。(おしつけに)なされ、その様な顔色がみえたときは。衣(え)、希(け)、者(は)は変体仮名です。
申出遍幾折毛奈く(もうしでる、べきおりもなく)。「遍」には濁点があります。幾(き)、毛(も)、奈(な)いずれも変体仮名です。
帰京尓於与者連(ききょうに、およはれ)。京都に戻るに至り。尓(に)、於(お)、与、(よ)、者(は)、連(れ)等々変体仮名のオンパレードです。
井手口ニ被引出縛里首(いでぐちに、ひきだされ、しばりくび)。「井手口」は地名か?
歎の餘尓怒りを含(なげきの、あまりに、いかりを、ふくめ)。
御咎メハさる事奈連共(おとがめは、さること、なれども)。お咎めを受けることは尤も(もっとも)なことであるが。
之責帝侍之作法尓(の、せきて、さむらい、これ、さほうに)。(殉死者の)責任で、侍はこの作法に。
御恨ミ尓毛奉存へ支様奈し(おうらみにも、ほう、そんべき、さまなし)。恨みにも、謹んで受ける気持ちを持ち続けるありようは見られない。
尓(に)、支(き)、奈(な)。形を憶えましょう。