光尚君御家譜抜書 2
百石宛拝領市太夫ハ其以前ゟ 光尚君江被召仕候
考二弥五兵尉五太夫市太夫御知行被下候事者月日分り候得共権兵衛江
被下候月日之いまた見當奈し先に被下置候糺又一云ニハ如意候
光尚君ニ勤仕遠り登有
然る尓父之遺跡分知之事表ニハ難有迄(しんにょう+占)悦ふ様奈連共
何レ茂内公快からす別而権兵衛ハ案外之至ト徒ふやき
希るも其上父弥一衛門ハ世上之批判彼是以懶支事候
思ひ日を送り候処寛永十九年三月十七日
妙解院様御一周忌ニ當良世良連京都ゟ大徳寺
くずし字解読
被下候事者月日分り候得共(くだされ、そうろうことは、つきひわかり、そうらえども)。者(は)候得共いずれも常用句。
月日之いま多見當奈し(つきひ、これ、いまた、けんとう、なし)。権兵衛に下された知行の月日については未だに見当がつかない。
糺又一云ニハ如意候(ただす、また、ひとこと、いうには、にょいそうろう)。問いただして調べると合点がゆく。
光尚君ニ勤仕遠り登有(みつなおぎみに、つとめつかまつり、をりとあり)。遠(を)、登(と)、有(あり)も頻繁に出てくる文字です。
然る尓(しかるに=それにもかかわらず)
難有迄(しんにょう+占)悦ふ様奈連共(なん、あるまで、よろこぶさま、なれども)。(表面上では)非難されるまで悦ぶさまをしても。
何レ茂内公快からす(いずれも、ないこう、こころよからず)。皆、心の内では快くない。
之至ト徒ふやき(これ、いたり、とつぶやき)。これは至極(この上ない)とつぶやき。徒(つ)も変体仮名ですね。
希るも其上(けるも、そのうえ)。(つぶやいて)いたのにも、その上。
彼是以懶支事候(かれこれ、ものぐさ、をもって、しじそうろう)。あれやこれやと、ものぐさで対処した。
當良世良連(あたらせられ)。良(ら)世(せ)良(ら)連(れ)。いずれも形を憶えるしか方法がなさそうですね。
妙解院様の一周忌(史実では三回忌)にあたらせられて(京都より大徳寺の天祐和尚が熊本へ下り)。