和田兵衛尉
宇田源氏の佐々木氏一族の流れをくむ、播州多可郡野間の内にある荒田の城主の高見助之丞は和田家に婿入りして和田兵衛尉と名乗った。
此時まて和田城主之明智と争戦の時赤井氏身
躰川婦連乱國之時皆々浪人候其後名を
新九郎と申候 羽柴大納言秀長公江仕居申候
この時まで、和田の城主は赤井氏の旗下で明智(光秀)と争っていたが(黒井城の戦)、赤井氏の体がつぶれ(討ち果たされ)味方は皆浪人となってしまった。
その後和田兵衛尉は名を新九郎と改めて、羽柴秀長公に仕えた。
一口メモ
「身躰川婦連」これを分解すると、「躰」は體の俗字で身体の意味、「川婦連」は変体仮名と呼ばれるもので、「つぶれ」と読む。
変体仮名を全く理解していなかった当初は、漢字の解読中心でその漢字から意味を読み取ろうとして大きな壁に突き当たってしまった。よくよく調べてみると、変体仮名はひらがなであり、漢字で一字一字を代用しているものと分かった。問題は一つの仮名を表す漢字が複数個あり、益々複雑化している。これは慣れるしか解決方法はない。
「婦」に濁点のくずし字は、蕎麦屋の暖簾で見かけたことのあるなじみのくずし字だ。これは特徴的な字形なので一度覚えたら忘れない。くずし字の習得はこの繰り返しで、習うより慣れろというべきか。