怪異話は、『吾妻鏡』にも記述されており、文応元年(1260年)10月15日条には、「北条政村の女が邪気を病んだが、これは比企能員の女である讃岐局(さぬきのつぼね)の霊が祟りをなしたゆえであった。
局は大蛇となり、頂(いただ)きに大きな角がある。女は火炎の如く、常に苦を受ける。当時、比企谷(ひきがやつ)の土中にいて、言を発した。これを聞いた人は身の毛もよだつと言った」。
11月27日条に至り、「夜に供養の儀があり、説法の最中、件の姫君、悩乱し、舌を出し、唇をなめ、身を動かし、足を伸ばした。ひとえに蛇身が出現した時と似ている。
加持が行われた後、言をやめ、眠るが如く、復本したという」。この事からも、真蛇に類した話は、少なくとも13世紀中頃末は確認できる。