掛軸 南隠老師筆

熊本大学附属図書館 高見家文書 #4001

上記掛軸の筆者である南隠老師は、祖厚禅師が出家の際に弟子入りした恩師です。

内容は、唐代の詩人胡令能(785-826年)の七言絶句の「小児垂釣」のようです。

 

上段

蓬頭稚子学垂纶,  側坐莓苔草映身。

路人借問遙招手,  怕得魚驚不応人。

解釈は次のようです。

ぼさぼさ頭の子供が川辺で魚つりの練習をしている。

莓苔の上に体を斜めにして座り込み、草で身を隠して(魚から見えないようにし)ている。

通りすがりの人が、子供を見つけて手で招き寄せて道を尋ねようとするが、魚が驚いて逃げてしまうのを恐れて、通行人の問いかけにも応えようとしない。

画像には、菩薩入不二偈 南隠謹書(印:南隠)と記されています。

内容には一部食い違いがありますが、これは日本人に判りやすい様に書き改めたのではないかとの説があります。

「路人」→「行人」、「借問」→「尋路」、「怕得」→「恐畏」

 

下段

下段画像の内容は、白隠慧鶴の禅書「槐安国語」の一節に記載されていることをFacebookの「古文書が読みたい!」のメンバーの方からご教授いただいた。

解読は次のとおりです。

百千毒皷同時響。   百千ノ毒皷同時ニ響ク。 たくさん鼓(つづみ)が同時に響く。

吼破虚空無點痕。  吼破リ虚空點痕無シ。 大きな音が大空を破りあとかた無し。

丙申春三月 希有庵主 明治29年(1896)

(この年は、祖厚禅師が南隠老師に弟子入り後3年目に当たります)。

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