巻頭

　　　於も可介乎かひ那しつる毛の

　　　な李

　　大正三年十二月廿七日

　　　　　　しる須

本文　頁1

　　　古今集序

やま登宇堂盤、人野こゝ呂乎

多年とし天、よ呂津乃ことの葉とそ

な禮李計る。世野中耳ある人、

ことわさ、津奈幾毛の那連は、心尓

於毛ふこと乎、見るもの聞物に

津介て、いひ出世る奈李。花尓鳴

う具飛西、水尓春無か者須乃

聲乎幾計者、以起とし生る

毛の、以須連可歌乎よ末さり介流。

知可良越毛以連須し天、あめ徒知

乎宇こ可し、め尓見えぬ鬼神

を母、阿者禮と於毛者世、於登古

女能中越もや者良介、多計幾

毛能ゝ婦乃こゝ呂越も奈くさ無る

本文　頁２

者、歌奈理。こ野宇多安女

徒知の飛良介者し末里介流

時よ李い天幾尓介里。志可安禮

登母、世尓徒多◯る事、久方の

あめ尓し天盤志多天る比免尓

者しま理、安良可年能徒知

尓し天盤数さ能乎のみこと

よ里楚於こ里計る。知者や不留

神代尓盤、歌の母しも佐多末ら

数、春那本尓し天、こと能古ゝ呂

わ介幾可多李氣羅し。

人の世とな里て、数さ能乎乃

見ことよ里曽、みそ母し安末理

飛ともし者よ美介る。かく天楚

花乎め轉、鳥乎うらや美

霞越阿者禮飛、露越可奈

本文　頁３

し無こゝ呂こと葉於不く、さ

満ゞにな李尓計る。と不き處

裳、出多徒あし毛とよ里なり天

年月越わ多理、高き山母

不毛と乃知里ひ知よりな里天

あ馬雲堂奈飛くま轉

於ひ能不連る古登久尓

こ能歌もかくのことく奈流變

し

　　

　　　　大正三　甲寅　十二月

　　　　　　　　　七十二翁　　廣川